ヤーンテラー効果の原理を銅イオンの電子配置で説明[院試で学ぶ]

東工大 物質理工学院

ヤーンテラー効果の原理を銅イオンの電子配置で説明[院試で学ぶ]

本記事ではヤーンテラー効果の原理を銅イオンの電子配置で解説します。掲載している問題は東工大物質理工学院応用化学系H30[3]であり、以下の記事の続きです。

ヤーンテラー効果とは

③\(Cu^{2+}\)錯体に関する次の文章について、空欄(a)~(h)に最も適切な語句をかけ。

6個の水分子が\(Cu^{2+}\)に配位すると、八面体アクア錯体\([Cu(H_2O)_6]^{+2}\)(下図)が生成する。この構造において、z軸に沿った2つのCu-O結合距離は、他の4つのCu-O結合距離と比較して(a)なる。この現象は(b)と呼ばれる。

\(Cu^{2+}\)は(c)電子配置をもち、xy平面上のCu-O結合軸に沿って配向する(d)軌道に(e)個、z軸方向のCu-O結合軸に沿って配向する(f)軌道に(g)個の電子が入る。この電子配置に基づき、各Cu-O結合軸上で生じる(h)の度合いが異なるため、Cu-O結合距離に差が生じると説明できる。

解答を挿入すると、

6個の水分子が\(Cu^{2+}\)に配位すると、八面体アクア錯体\([Cu(H_2O)_6]^{+2}\)(下図)が生成する。この構造において、z軸に沿った2つのCu-O結合距離は、他の4つのCu-O結合距離と比較して長くなる。この現象はヤーンテラー効果と呼ばれる。

\(Cu^{2+}\)は\(d^9\)電子配置をもち、xy平面上のCu-O結合軸に沿って配向する\(d_{x^2-y^2}\)軌道に1個、z軸方向のCu-O結合軸に沿って配向する\(3d_z\)軌道に2個の電子が入る。この電子配置に基づき、各Cu-O結合軸上で生じる静電反発の度合いが異なるため、Cu-O結合距離に差が生じると説明できる。

□ヤーンテラー効果

八面体がz軸方向に伸びて、x、y軸に沿って縮む。こうすることでエネルギー的に得をするため起こるのだが、その理由を図を用いて解説する。

まず、z軸方向に伸びることでz軸成分に電荷分布をもつ軌道(yz,zx,\(z^2\))のエネルギーが減少する。これは、配位子とd軌道の電子が遠くなることで静電反発が弱まるためである。逆に、x、y軸成分に電荷分布をもつ軌道のエネルギーがは増加する。これも同様に考えて、配位子とd軌道の電子が近づくことで静電反発が強まるためである。図で表すと、以下のように軌道が分裂する。

実際に歪みはごく小さいが、わかりやすく図は誇張してある。実は\(t_{2g}\)軌道では、増加分と減少分が同じくらいなのでエネルギーの増減はない。しかし、\(e_g\)軌道では\(Z^2\)軌道の電子数の方が\(x^2-y^2\)より多い場合、エネルギーが減少する。このため、\(d^7\)~\(d^9\)ではヤーンテラー効果が起こると考えられる。

以上がヤーンテラー効果の説明です。過去問の続きはこちらです。

また、院試やTOEICの勉強方法・面接対策についての記事もあるのでそちらもご覧ください。

コメント

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