ニューマン投影式の安定配座・SN2の反応性・NMRの化学シフト[院試で学ぶ]

有機化学

ニューマン投影式の安定配座・SN2の反応性・NMRの化学シフト[院試で学ぶ]

今回は、ニューマン投影式を用いた、ポテンシャルエネルギーの比較・\(S_N2\)の反応性について・プロトンNMRスペクトルの化学シフトについてです。掲載している問題は東工大物質理工学院H31の3A(1)です。本サイトでは過去問解説を通して大学化学の解説を行っていますので無機・物理化学についてもご覧ください。

ニューマン投影式のポテンシャルエネルギー

(1)以下の問①~③に答えよ。

①次のニューマン投影式で示したn-ブタンの立体配座A~Dについて、ポテンシャルエネルギーが高い順に左から並べ、不等号(>)を用いて記号で記せ。

ポテンシャルエネルギーが高いということは、不安定な形をしているということであり、これはつまり立体障害が大きいということである。

□ニューマン投影式

ニューマン投影式は3種類に大別される。①重なり型(2つの表し方がある)、②ゴーシュ型、③トランス型である。これらを図で表すと以下のようになる。

Xは置換基である。これらは、①(重なり型)>①’>②(ゴーシュ型)>③(トランス型)の順に不安定である。これは、ポテンシャルエネルギーの大きさ順でもある。ポテンシャルエネルギーは立体障害によるものであるが、かさ高い置換基同士が近くにあるとより大きくなるためこの順番になる。

ここで、A、Cは重なり型であり、Bはゴーシュ型、Dはトランス型である。よってポテンシャルエネルギーはA,C>B>Dとなるが、Aはかさ高い\(-CH_3\)基同士が近づいており立体障害が大きくなるため、Cよりもポテンシャルエネルギーが高くなる。

以上のことをまとめると、ポテンシャルエネルギーの順序は以下のようになる。

A > C > B > D

\(S_N2\)反応の反応性の比較

②ナトリウムメトキシドを求核剤としたとき、次に示した化合物E~Iとの\(S_N2\)反応において反応性の大きい順に左から並べ、不等号(>)を用いて記号を記せ。

□SN2反応

\(S_N2\)反応は背面攻撃による反応であるため、立体障害の小さい順に反応性は大きい。

つまり、一級>二級>三級の順に反応性は高くなる。

\(Nu^-\):求核剤 X:脱離基 \(R^1,R^2,R^3\):Hもしくはアルキル基

ここで、ビニル化合物(下図)に対しては、背面攻撃ができないため反応が進行しない。

以上のことより、E~Iの立体障害を考慮して反応性を比較すると以下のようになる。

F > G > I > H > E

プロトンNMRスペクトルの化学シフト

③次の化合物の重クロロホルム中のプロトンNMRスペクトルにおいて、J~Mで示したプロトンの化学シフトを高磁場側から順に左から並べて記せ。

□プロトンNMRの化学シフト

1⃣ 電子密度

Aの誘起効果により、電気陰性度が高いor電子吸引力が高いほど化学シフトは高くなる。

Gの共鳴効果が電子吸引性であるほど化学シフトは高くなる。

2⃣ π電子

還流π電子により、化学シフトは以下の順になる。

π電子効果は電子密度よりも優勢される。

以上のことをまとめると、各プロトンの化学シフトは

K > J > L > M

以上です。過去問の続きはこちらです。

また、本サイトでは院試やTOEICの勉強方法や面接対策などの記事も掲載しているのでそちらもご覧ください。

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