水の圧力-温度相平衡状態図についての問題と解説

東工大 物質理工学院

今回は水の圧力-温度相平衡状態図から相転移に必要な熱量や、ギブズエネルギーの温度依存性についてです。掲載している問題は東工大物質理工学院R2[5B]です。大問の続きはこちら。

水の圧力-温度相平衡状態図についての問題と解説

(1)\(H_2O\)の圧力-温度相平衡状態図(図1)について、次の問①~③に答えよ。

図1

①9.00 gの\(H_2O\)を図1のAB間の経路で温度上昇させ、

相1であった全量を相Ⅲに相転移させるために必要な熱量[J]を求めよ。

ただし、相ⅠとⅡの標準定圧モル熱容量をそれぞれ37.4\(J mol^{-1}K^{-1}\)および75.3\(J mol^{-1}K^{-1}\)とし、相Ⅰから相Ⅱへの転移にともなう標準エンタルピー変化を\(ΔH_{Ⅰ→Ⅱ}\)=6.01\(J mol^{-1}K^{-1}\)、相Ⅱから相Ⅲへの転移にともなう標準エンタルピー変化を\(ΔH_{Ⅱ→Ⅲ}\)=40.7\(J mol^{-1}K^{-1}\)とする。

また\(H_2O\)の分子量を18.0とし、解答は有効数字3桁で記せ。

\(H_2O\)の物質量は0.5 molであり、定圧の条件下では、q=ΔH=CpΔTなので

q=(相Ⅰでの熱量)+(相Ⅰから相Ⅱへの転移にともなう標準エンタルピー変化)+(相Ⅱでの熱量)+(相Ⅱから相Ⅲへの転移にともなう標準エンタルピー変化)

これより、

\(q = \frac{37.4 JK^{-1}}{2}×(273.15-263.15)K + \frac{6.01×10^3 J}{2} + \frac{75.3 JK^{-1}}{2} ×(373.15-273.15)K + \frac{40.7×10^3}{2}\)

=27.3kJ

②図2(a)~(d)は、それぞれある純物質の圧力一定条件におけるギブズエネルギーG温度依存性を示している。曲線Ⅰ~Ⅳは、それぞれ図1の相Ⅰ~Ⅳに相当する状態を表しているものとする。

\(1.00×10^2 kPa\)における\(H_2O\)のギブズエネルギーの温度依存性を示したものはどれか

図2

G = H – TS

dG = dH – TdS -SdT

= SdT-pdV + pdV +Vdp – TdS – SdT

= Vdp – SdT

ギブズエネルギーを圧力と温度の関数とすると、全微分は

$$dG = (\frac{∂G}{∂P})_Tdp + (\frac{∂G}{∂T})_pdT$$

なので、dG = Vdp – SdTと比較して

$$(\frac{∂G}{∂T})_p = -S$$

上記の関係式より、

・あらゆる物質でS>0であるので、(n,p=一定で)温度を上げた時にGは常に減少する

・\((\frac{∂G}{∂T})_p\)はSの増大とともにさらに負に大きくなるので、系のエントロピーが大きいときに、温度上昇に伴うgの減少はより急峻となる

     ⇒S(気相) > S(液相) > S(固相)なので、傾きも気相>液相>固相

また、水において温度が低い順に固液平衡点、気液平衡点が現れるので、

ギブズエネルギーの温度依存性を示したものは(c)である。

図2(a)~(d)に示した矢印の相転移ア、交点イ、および温度ウ、エ、オの名称をそれぞれ記せ

ア:昇華

イ:三重点

ウ:沸騰温度

エ:融解温度

オ:臨界温度

以上が[5B]の過去問・解答案です。また、本サイトでは院試についての情報も掲載しているためそちらもご覧ください。

コメント

  1. eb より:

    熱量の数値計算あってます?

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