ポテンシャルエネルギー面と鞍点

東工大 物質理工学院

今回は反応のポテンシャルエネルギー面と振動励起状態での挙動についてです。掲載している問題は東工大物質理工学院R2[6B]です。

ポテンシャルエネルギー面と鞍点

以下の設問(1)および(2)に答えよ。

(1)反応のポテンシャルエネルギー面に関する次の文を読み、以下の問①および②に答えよ。

反応性分子衝突の動力学において重要な概念であるポテンシャルエネルギー面について考える。これは、反応に関与するすべての原子の相対位置の関数として表したポテンシャルエネルギーであり、通常は図1のように等高線図として表示される。

ここで1個の水素原子と1個の水素分子が衝突して生じる反応

$$H_A + H_B-H_C 1→H_A-H_B + H_C$$

を考える。\(H_A\)原子が\(H_B-H_C\)軸に沿って接近する場合を考えると、この衝突過程の記述に必要なパラメーターは\(H_A\)と\(H_B\)の距離\(R_{AB}\)および\(H_BとH_C\)の距離\(R_{BC}\)の2つのみとなる。(i)出会いの始まりにおいて\(R_{AB}\)は十分大きく、\(R_{BC}\)は平衡結合長に等しい。その後、ポテンシャルエネルギー面上のさまざまな経路をたどって反応が進行する。

図1

①以下の問(a)および(b)に答えよ。

(a)下線部(i)の状況を表しているのは図1中のア~カのどこか

図1の見方として、

はじめは\(H_A\)は遠くにあり、\(H_B-H_C\)と近づき衝突することで\(H_A-H_B\)となり、\(H_C\)は離れていく。大雑把ではあるが、これが衝突反応による挙動である。

以上のことより、図1でははじめ\(R_{AB}\)は大きく\(R_{BC}\)は小さい(結合しているため)。よって出会いの始まりは図の右下であるので答えは(イ)である。

(b)

このポテンシャルエネルギー面の鞍点は図1中のア~カのどこか

□鞍点
★数学的には、ある方向では極大値だが、別の方向では極小値となる点。 つまり、反応経路に沿ってエネルギーは極大だが、他の方向に関してはエネルギーは極小となる点である。

答えは(エ)。

②以下の問(a)および(b)に答えよ。

(a)

図2に太線で示した経路の特徴を、反応前後の分子の状態に着目して、2行程度で述べよ。

図2

図2エネルギーの一部が原系の分子の振動にあり、その振動運動により、系は角をうまく回って鞍点に達する。生成物は非励起の振動状態にある。

つまり、反発的なエネルギー面では、過剰エネルギーが振動の形なら効率よく反応が進行する。

答えは、

はじめ\(H_B-H_C\)分子が振動励起しており、\(H_A\)が\(H_B-H_C\)に接触し\(H_C\)が離れるにつれて\(H_A-H_B\)が振動する。

(b)

図3に太字で示した経路の特徴を、反応前後の分子の状態に着目して2行程度で述べよ。

図3

図3ではもとの分子が衝突励起されていると、入ってくる分子と衝突する。また、鞍点に達していない。

これより答えは、

\(H_A\)は振動する。\(H_B-H_C\)分子に接近するが、反応に必要な全エネルギーが足りないため\(H_B-H_C\)分子が振動したまま\(H_A\)は離れていく。

以上がポテンシャルエネルギー面についての例題です。

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