水素の動径関数・パウリの排他原理・フントの規則[院試で学ぶ(東工大)]

東工大 物質理工学院

今回は水素原子の動径波動関数・動径分布関数の求め方・多電子原子におけるパウリの排他原理・フントの規則・有効核電荷や遮蔽についてです。掲載している問題は東工大 物質理工学院 応用化学系の5B(物理化学分野)です。その他の問題番号も掲載しています。

H31 東工大物質理工学院 応用化学系 過去問解答
  1. H31 3A 錯体の酸化・電荷移動・炭素とケイ素の構造比較
  2. H31 4A マーデルング定数・ラチマー図
  3. H31 5A エンタルピー計算・マクスウェルの速度分布・状態方程式の導出
  4. H31 6A 混合エンタルピー・混合ギブスエネルギーの求め方
  5. H31 3B 錯体・平面四角形の構造決定・カルボニル錯体の逆供与・安定
  6. H31 4B ペロブスカイト型構造の構造と配位数・スピネル型酸化物の磁気モーメント
  7. H31 5B 水素の動径関数・パウリの排他原理・フントの規則(本記事)
  8. H31 6B リンデマン-ヒンシェルウッド機構の速度式

水素原子の動径関数の求め方

以下の設問(1)および(2)に答えよ。

(1)水素原子の電子軌道に関する以下の文を読み、問①~④に答えよ。

ただし、rを原子核からの距離、\(a_0\)をボーア半径とする。

水素原子の電子軌道は波動関数φにより表される。この波動関数は(a)方程式を解くことにより求めることができる。(ア)φは動径波動関数R(r)と球面調和関数Y(θ,Φ)の積により表されR(r)は(b)量子数nと(c)量子数lによって、Y(θ,Φ)はlと(d)量子数/(m_l\)によってそれぞれ表される。ただし、θは余緯度、Φは方位角である。(イ)これら3つの量子数の組み合わせにより電子軌道が決まる。各電子軌道において、半径rの位置に電子が存在する確率密度を示す動径分布関数P(r)=(g)である。

①空欄(a)~(f)に適切な語句を選べ。

(a)シュレーディンガー方程式 (b)主量子数 (c)方位量子数 (d)磁気 (e)n (f)l

□量子数の簡単なイメージ
主量子数: 何番目の周期か(1sなのか2sなのか)
方位量子数: 副殻の種類(sとかpとか)
磁気量子数: 上向きスピン(↑)か下向き(↓)スピンか(※電子の話に限る)

②下線(a)の関数Y(θ,Φ)について、以下の問(a)および(b)に答えよ。

(a)関数Y(θ,Φ)における電子の位置を示す変数θ、Φをxyz直交座標をもちいて図示せよ。

(b)θおよびΦの範囲をそれぞれ記せ。

0≦θ≦π  0≦Φ≦2π

③R(r)とrの関数からなる空欄(g)を、体積素片\(dτ=r^2sinθdrdθdΦ\)を用いて導出せよ。

半径rとr+drの間に電子が見つかる確率は

$$R(r)dr=∫φ^*φdτ=∫|R(r)Y(θ,Φ)|^2dτ

$$=\int_{0}^{\pi}\int_{0}^{2\pi}|R(r)|^2|Y(θ,Φ)|^2r^2sinθdrdθdΦ$$

ここで、球面調和関数は規格化されているため

$$\int_{0}^{\pi}\int_{0}^{2\pi}|Y(θ,Φ)|^2sinθdθdΦ=1$$

なのでP(r)

$$P(r)=r^2R(r)^2$$

④下線(イ)について、2s軌道のR(r)を示した図はどれか。

(2)多電子原子について

パウリの排他原理とは

①多電子原子では、基底状態の電子配置において、電子はエネルギー準位が低いところから占める。このときひとつの軌道に3つの電子が入ることができない。このことを示す原理の名称を記せ。

パウリの排他原理

□パウリの排他原理
ある軌道は最大で2つの電子を収容でき、その2つの電子のスピンは互いに対になっていなければならない

有効核電荷と遮蔽とは

②電子を1個持つ水素型原子では2s軌道と2p軌道のエネルギー準位は同じである。しかし、多電子原子では2s軌道の方が低い。この理由を3行以内で説明せよ。

2s軌道は2p軌道よりも角の近くで電荷密度が高い。これにより2p電子は2s電子により核電荷が遮蔽されることで有効核電荷が2s電子の方が大きくなり、核にきつく束縛されることでエネルギー準位が低くなる。

□有効核電荷と遮蔽
有効核電荷: 電子が感じる原子核からの引力。原子核から近いほど強く、遠いほど弱い。
遮蔽: 注目する電子より原子核側にある電子が原子核の引力を遮って、注目する原子の有効核電荷を小さくすること。

③p軌道やd軌道では同じエネルギー準位にある複数の軌道が存在する。以下の問に答えよ。

1.酸素原子では電子はどのように配置されるか。2p軌道を\(p_x,p_y,p_z\)とするとそれぞれの軌道を占める電子数を記せ。

$$2p_x^12p_y^12p_z^2

フントの規則とは

2.縮退した複数の軌道を電子が占めるとき、電子配置を決める規則の名称を記せ

フントの最大多重度則(フントの規則)

□フントの規則
電子は、ある副殻の軌道が全て埋まってから2つ目の電子が入る。
理由: 電子同士の静電反発を抑えてエネルギーが小さくなるように配置するため。

コメント

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