混合エンタルピー・混合ギブスエネルギーの求め方[院試で学ぶ(東工大)]

東工大 物質理工学院

[院試で学ぶ(東工大)]混合エンタルピー・混合ギブスエネルギーの求め方

今回は混合エンタルピー・混合ギブスエネルギーの求め方・理想溶液や正則溶液について・ラウールの法則・組成-温度曲線の求め方です。掲載している問題は東工大 物質理工学院 応用化学系の6A(物理化学分野)です。その他の問題番号も掲載しています。

同年度の過去問解答はこちら。
  1. H31 3A 錯体の酸化・電荷移動・炭素とケイ素の構造比較
  2. H31 4A マーデルング定数・ラチマー図
  3. H31 5A エンタルピー計算・マクスウェルの速度分布・状態方程式の導出
  4. H31 6A 混合エンタルピー・混合ギブスエネルギーの求め方(本記事)
  5. H31 3B 錯体・平面四角形の構造決定・カルボニル錯体の逆供与・安定
  6. H31 4B ペロブスカイト型構造の構造と配位数・スピネル型酸化物の磁気モーメント
  7. H31 5B 水素の動径関数・パウリの排他原理・フントの規則
  8. H31 6B リンデマン-ヒンシェルウッド機構の速度式

2成分溶液に関する以下の設問(1)および(2)に答えよ。

理想溶液・正則溶液とラウールの法則

以下の問①~③に答えよ。ただし、2成分溶液の成分Aおよび成分Bの物質量を\(n_A,n_Bとし、モル分率をx_A,x_Bとする。\)また、それぞれの純物質の化学ポテンシャルを\(μ^*_A,μ^*_B\)とし、気体定数はRとする。

2種類の溶液を混合したときに、2種類の完全気体を混合した場合と同じように一方の化学種の分子が他方の化学種の分子が他方の化学種の分子と完全にばらばらに混じり合う場合、その溶液を(a)という。このお溶液のそれぞれの成分の蒸気圧は(b)の法則に従う。しかし一般に、実際の溶液では分子間相互作用のため必ずしもそうはならない。このような実際の溶液の熱力学的性質は、(a)溶液の値との差である(c)熱力学量で表される。実際の溶液を表すモデルの中で、特に(d)エントロピーがゼロの溶液を(d)溶液という。

①文中の(a)~(d)に適切な語句を入れよ。

(a)理想溶液 (b)ラウールの法則 (c)過剰熱力学量 (d)正則溶液 ※見やすいように単語全文です。

混合エントロピーの求め方

②下線部の性質をもつ溶液の混合エントロピー\(\Delta _{mix}S\)を表す式をかけ。

$$\Delta _{mix}S=nR(x_Alnx_A+x_Blnx_B)$$

\(\Delta _{mix}S\)の導出はこちら

混合ギブスエネルギーの求め方

③下線部の性質をもつ溶液の温度Tでの全ギブズエネルギーGを表す式をかけ。

純物質のギブスエネルギーは\(G=nμ^*\)なので混合前の個々の溶液の全ギブズエネルギー\(G_i\)は

$$G_i=n_Aμ_A^*+n_Bμ_B^*$$

である。また、混合したときの各化学ポテンシャルは\(μ_j=μ_j^*+RTlnx_j\) *導出 なので

混合後のギブズエネルギー\(G_f\)は

$$G_f=n_Aμ_A+n_Bμ_B=n_A(μ_A^*+RTlnx_A)+n_B(μ_B^*+RTlnx_B)$$

\(=G_i+nRT(x_Alnx_A+x_Blnx_B)\)

ここで、\(n_A=nx_A , n_B=nx_B\)を用いた。以上より

$$\Delta _{mix}S=G_f-G_i=nRT(x_Alnx_A+x_Blnx_B)$$

モル混合ギブスエネルギーによる組成-温度図の求め方

モルギブズエネルギー\(\Delta _{mix}G_m\)が式(i)で表される溶液に関して、下の問①~③に答えよ。

$$\Delta _{mix}G_m=RT(x_Alnx_A+x_Blnx_B)+E_{int}x_Ax_B・・・(i)$$

ただし、Rは気体定数、Tは温度、\(x_Aは成分Aのモル分率、x_Bは成分Bのモル分率である。\)

\(E_{int}\)は、A分子とB分子間の相互作用(A-B相互作用)の大きさを、A-A相互作用およびB-B相互作用の大きさを基準として決定したパラメーターであり、ここでは正の定数で温度変化しないものとする。

①この溶液の\(\Delta _{mix}\)は、図に示すようにパラメーター\(ξ=\frac{E_{int}}{RT}\)の値によって変化する。組成\(x_A=0.5\)の溶液の温度を高温から下げた時に起きる変化を2行程度で説明せよ。

①低温になるにつれてξは大きくなり、ξ>2で極小を持つようになり、2つの相に自発的に分離する。

*解説

②この溶液の組成ー温度図の概略を、横軸\(x_A\),縦軸ξでかけ。

ξが減少するにつれて2つの極値が接近していき、ξ=2において合流する。

③問②の組成ー温度曲線を表す方程式を導け。

$$(\frac{\partial \Delta _{mix}G_m}{\partial x_A})_{T,P}=RT(\frac{\partial [x_Alnx_A+(1-x_A)ln(1-x_A)+ξx_A(1-x_A)]}{\partial x_A})_{T,P}$$

$$=RT{lnx_A+1-ln(1-x_A)-1+ξ(1-2x_A)}$$

$$=RT{ln\frac{x_A}{1-x_A}+ξ(1-2x_A)}$$

\(\Delta _{mix}G\)が極小をとるのは上式が0を取る場合なので=0として

$$\frac{x_A}{1-x_A}=-ξ(1-2x_A)$$

コメント

  1. […] 6Aの解答はこちら […]

  2. […] 溶液の混合では先に学んだ熱力学の概念にさらに化学ポテンシャルという物理量が登場します。この概念は非常に大切ですので是非理解しましょう。本記事では主に東工大 物質理工学院(H31)6Aで出てきた用語の解説ページです。 […]

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